せせらぎの小道:希望

3月5日に他界した、弟のようなK君のために、黄泉国でもまた元気に生きていただけるように、願いを込めてこの詞を記します。

 

 希望   シラー  (Friedrich  Schiller)

 つねにより良き将来の日を

人はよく語り、よく夢見る。

かがやく幸福の金的をめがけて

人はひたすらに走る。

物はみな朽ちはて、また新たになるところ

人はつねにより良きをねがう。

 

 希望は、この世の生を人にあたえる。

むしんな少年の身につきまとい

青年のこころを、まばゆい光でひきよせ

老年とともに葬られることもない。

人は疲れた歩みを、墓の中に休めるときも

希望は、高くーー墓石の上にかかげる。

 

これはうつろな、うぬぼれの思いではない

おろかしい頭の考え出したものではない

おのずと心のうちに、声となって浮かびくるもの

より良きをもとめて、われ生きる・・・

この、おのずと内にひびく声は

希望をいだく魂をあざむかない。

 

  (小栗孝則 訳)

 

K君のお父さんは内村鑑三の研究者として名を残している。K君はよくお母さんを連れて桜の名所を訪ねていた。その写真を残している。K君は何時も元気だ。