せせらぎの小道:記憶、衝撃

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上の写真は毎日新聞社発行:60年安保闘争の時代、新装版、裏表紙よりコピーしたもの。垂れ幕は、民主社会党西尾末広氏、日本社会党浅沼稲次郎氏、自由民主党池田勇人氏。場所:日比谷公会堂、時:1960年10月21日(土)午後3時過ぎ。

3党首立会演説会で民社党西尾末広委員長に続いて2番目に立った浅沼稲次郎日本社会党委員長は演説中、突然演題に駆け上がった若い男に、刃渡り34㎝の脇差で左胸と左腹部を2カ所刺された。浅沼さんはほぼ即死状態だったといわれている。享年61才。

若い男は日本愛国党員の山口乙矢といい、当時17才だった。

 

当時中学生だった私は、学校で新しく支給されたテレビジョンで、白黒映像、日本全国の野球ファンが注目していた東京六大学野球、優勝決定戦最終戦早慶戦)を、小雨降る天気だったろうか、観ていた。そしたら突然に臨時ニュースとしてこの映像が飛び込んできたわけです。

若い男は「天誅!」と叫んだらしい。

早慶戦の興奮も、連投に次ぐ連投の、安藤元博、選手の姿も吹っ飛んでしまいました。

 

藤田元治、川上哲治長嶋茂雄金田正一王貞治、杉浦正、水原茂、小西徳郎、稲尾和久、ウオーリー与那嶺、鶴岡一人、インデイー宮本、広岡達郎、三原脩杉下茂、小山明、これみんな野球関係の人達ばっかり。それから坂本九ちゃん。

 

その他にも、この写真に至るまでの、記憶がある。

松川事件最高裁差戻判決、警官職務法、勤務評定、そして60年安保、唐牛健太郎、ブント、樺美智子。

 

人新世の「資本論」、齋藤幸平さんがこの書を世に出して以来、あたかも蛍雪時代に逆戻りしたかのように、自分の生きてきた時代のことをもっと良く深く知りたいという欲望に駆られてか、この世の中の出来事に興味が出てきてしまって、哲学書だとか思想書だとか政治経済書だとか桐野夏生さんのミステリー?に至るまで、本ばかり読んでいる。東西冷戦、自由陣営と非武装中立自由民主党の今と昔、日本共産党の今と昔。

事実以上に真実が知りたい、人は、自分は何を考えているのかを知りたいと思う。案外、自分は何を考えているのかということを、知らなかったりしている。全く、忙しいったらありゃしない。

天知 茂さんが唄うように「生まれたときが悪いのか」とか「何も知らずに生きてゆくなら」とか考えなくもないのだが、それも寂しい限りなのです。

今に至る過去を知りたい、未来に至る今を知りたい、なんてね。

こういう時に、内外の思想家や、識者が世に出してくれている書物はお宝のように価値がある。