せせらぎの小道:小説

「臨床の砦」:夏川草介

 コロナ感染症の臨床現場を捉えていて、身に迫るものがあり、読み進めた。

 

夷俘(いふ)の反逆」若松丈太郎詩集。

 土人からヤマトへもの申す

  米軍基地建設に抗議するウチナンチューに

  ヤマトから派遣された警官のひとりが

  「土人!」と罵声を浴びせた

  ウチナンチューが土人だば

  おらだも土人でがす

  そでがす おら土着のニンゲンでがす

  生まれてこのかた白河以南さ住んだこたあねえ

  <東北の土人><地人の夷狄(いてき)>でがす

  

  電力業界で言われてきたことば

  「東電さんには<植民地>があってうらやましい」

 

この詩集には中央に対する地方の目がずっと通っていて共感するものがある。

勿論自分も、福島に住んでいる一人なのだが。

 

「52ヘルツのクジラたち」:町田そのこ

 群からはぐれているクジラのなかに52ヘルツの信号を発するクジラがいるという。その信号は他のクジラには聞き取れないとか。

 

アメリ現代思想」:仲正昌樹

 自分たちの生きてきた時代の思想を解説してくれているように思えて面白い、というか興味津々。

 

徳川家康」:安部龍太郎

 阿部家康とも言える書き方で新鮮実がある。家康さんはこう観ると日本歴史史上第一級の政治家の感あり。