せせらぎの小道:トリチウム

2021年4月14日:毎日新聞電子版

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風評被害もさることながら、実害が起こったときに、被害の実態に見合う賠償をする意思があるかどうかが問題です。

福島県甲状腺がんの多発は風評被害などと云うものではなくて、これは実害でしょう。これにたいする賠償など、さらさらやる気もないくせに、それもくだらない理由をつけて放射線障害ではない、等と言って、賠償の「ばのじ」すらも実行しない人達が、「風評被害が生じた場合、被害の実態に見合う賠償」を誠意を持ってやると思いますか。どうせまた、くだらない理由をつけて、それは風評被害では無い、と言うに違いない。

 

トリチウムの害を論じる場合は(他の核物質も同じなのだが)後世にどのような影響を与えるかと云うことが問題だと思う。海洋に投棄するのだから海洋生物に何らかの影響を与えないのがおかしい。それが巡り巡って人間に影響すると云うことも事実でしょう。薄めようが濃縮しようが投棄される量は同じなので、そういうことは工夫とは言わない。安全性を追求したとは言えない。

 

トリチウムというのは三重水素のことです。水の元になる水素の仲間、等と言ってごまかされてはいけない。質量数が3である水素の同位体。陽子ひとつと中性子ふたつから構成される核種。

自然界に最も多く存在する「普通」の水素は、原子核が単独の陽子からなる軽水素であり、原子核が陽子ひとつと中性子ひとつからなる重水素も安定核のため豊富に存在するのに対し、三重水素は不安定なため天然には微量しか存在しない。とはいえ、半減期が12.32年は軽い水素の放射性同位体としては比較的長いもので、天然においても一定量存在している。

体重60キログラムの人の場合、50ベクレル程度のトリチウムを体内に保有している。

三重水素は、地球環境においては、酸素と結びついたトリチウム水として水に混在しており、水圏中に気相、液相、固相の形態で広く拡散分布している。

海水中の三重水素濃度は通常、数ベクレル/ℓ より少ない。

三重水素宇宙線と大気との反応により地球全体で7.2京ベクレルほど天然に生成される。加えて過去の核実験により環境中に大量に放出され今だに残っている三重水素(フォールアウト・トリチウム)、原子力発電所または核燃料再処理施設などの原子炉関連施設から大気圏や海洋に放出された三重水素(施設起源トリチウム)が地球上で観測される三重水素の主たる起源である。

 

高純度の液体トリチウム核融合反応を起こす上での必須の燃料であり、水素爆弾の原料のひとつとしても利用される。

 

体内では、均等分布で、生物学的半減期が短く、エネルギーも低い。こうしたことから三重水素は最も毒性の少ない放射性核種のひとつと考えられ、生物影響の面からは比較的軽視されてきた。然し一方で三重水素を大量に取り扱う製造技術者が、内部被曝による致死例が2例報告されている。三重水素の生物圏に与える影響については、環境放射能安全研究年次計画において研究課題として取り上げられたことがある。

長期の研究実績に基づいた報告書が公表されている。

 

*何が言いたいかというと、安全性ばかり研究する研究は、危険でないことを研究する研究なので良くないのです。危険性を真剣に研究して欲しいのです。

生物界に与える影響とか、それらが巡り巡ってヒトにあたえる影響とか、後世に与える影響とかは何世代にも亘って継続するべき研究なので、たかだか人の一生分の時間ぐらい研究したからと云って、研究などと云う言葉を使って欲しくないのだわ。

生物界の時間からすると、そのようなものは、お茶を濁した程度の、あっという間の急性実験に過ぎない。

 

ダカラというわけではないのですが、この風評被害対策は全く信用が出来ないのです。

それから海洋投棄以外に良い方法があるかと問われれば、無いというしかない。

従いまして、「風評被害、実害に対して私たちは賠償などとても出来ないし、「害」に対する知識も乏しいし、研究も本気になってしていません、それでも海洋投棄するほか方法がないのです。あなた方犠牲になって下さい」という事きりないのでは?。

それでも原発をやるんですか?という質問に対しては「すみません、継続させて下さい」と考えているに違いない。あるいは「継続に決まっているでしょう、文句があるか」だろうか。