せせらぎの小道:炎症と免疫(1)

仙道富士郎先生は冊子のなかでCOVID-19の重症化の機構について述べている。

山形大学でおつきあい頂いた当時の話しぶりそのままなので、このブログに写し取ってみたい。いつまでたっても師匠は師匠のままだ。

山形大学名誉教授・老健施設紅寿の里施設長 仙道富士郎 著 「新型コロナウイルスを正しく恐れるために」より

 

私は現在82才ですが、COVID-19に感染すると、80歳以上の人は17%も死亡します。やはり恐ろしいです。この感染症に罹患すると、なぜ死に至るのか、重症化の機序について考えてみたいと思います。

まず、COVID-19を起こすSARS-CoV-2にかんせんすると、30~40%の人は何ら症状を示さずに治ってしまいます。そして、症状を示す人のなかで81%の人は軽症で、咳、発熱、筋肉痛、頭痛、のどの痛み、嗅覚・味覚異常などの症状を示すだけで治癒してしまいます。次に、重症の人は14%で、呼吸困難、低酸素症、CT像の50%以上の肺野に陰影が認められるなどの症状を示します。そして、重篤な人は5%で、呼吸不全、多臓器不全などを起こし、半数の人は死亡します。(表5)。

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さて、以上重症化に伴う症状、検査結果を説明しましたが、一番大事なことは、なぜそのようなことが起こるかという原因を探ることです。それがはっきりすれば、その原因を取り除いてやれば、この感染症の重症化を予防したり、治療したりすることが出来るはずです。

先ず、結論から言いますと、COVID-19の重症化は炎症と免疫のバランスの崩れから起きます。

と申し上げても何のことかおわかりにはならないだろうと思います。先ず、呪文のように、この文章を頭に入れておいて下さい。これから炎症って何?、免疫って何?という話をしていきます。

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しかし、COVID-19が重症化すると、炎症と免疫のバランスが崩れてしまいます。どのように崩れるのかこれから説明しますが、その基礎として炎症とは何か、免疫とは何か、ごく簡単に触れることに致します。

 

「仙ちゃん」と呼んで慣れ親しませて頂いた仙道先生のお話はこれからが佳境です。

「免疫と炎症も区別できないで、何考えているの君たちは?」等とお叱りを受けながら過ごした日を懐かしく想いながら、続きは・あ・し・た。